七夕の翌日は、沼ノ原に登った。沼ノ原は湿原なので「登る」という言葉は似合わないかもしれないが、標高1400mの台地上にあり、1時間と少しの登山を要する。大雪山のかなり奥まった所にあって、登山口まで層雲峡からでも車で1時間ほどかかる。林道の途中にゲートがあるので、あらかじめ鍵の番号を知っておく必要がある。 登山口から歩きはじめて間もなく、クチャンベツ川を二度渡る。丸木を何本か束ねただけの簡素な橋なので、バランスを崩すと川に落っこちてしまう。台地の上に出る直前は、手で岩や木の根を掴みながら登るほどの急斜面になるが、長くは続かない。 沼ノ原は大雪山を代表する湿原とされるが、花がほとんど咲かないので地味な印象がある。しかし、トムラウシ山を背景に池糖と針葉樹の織りなす庭園のような風景は、ちょっとしたものである。 |