大雪山 緑岳



2007年9月23日



大雪山の緑岳に登った。ほんの6日前にも登ったのであるが、天気がいまひとつで景色が良くなかったので、また登ったのである。

午前1時ずぎに札幌を出発、高速を使わずにトロトロ走って、午前5時頃に大雪レイクサイトに着いた。レイクサイトから緑岳の登山口である高原温泉までは、シャトルバスを利用する。紅葉シーズンは、マイカー規制が敷かれるのである。

朝一番のシャトルバスに乗って、高原温泉に到着。森林パトロール高原事務所で入山届けをしようと思ったら、管理人さんが、いきなりすごいことをのたまうではないか。9月21日、すなわち2日前のことであるが、登山者がヒグマに遭遇、逃げるときに骨折するという事故が発生したというのである。なので、本日の入山はおすすめしないが、最終的に登る登らないは御自分の判断で、とのことである。いわゆる自己責任というやつである。

しかし、私を含め、入山をあきらめる人は全くいないのである。日本人特有の、根拠のない楽観主義というやつかもしれない。みんな、自分に限って滅多なことは起きないと考えるのである。それに、この日は入山者が多いというのもある。大勢が歩いていれば、ヒグマが近づく可能性は低いであろう。ということで、みな次々と緑岳に登っていくのである。

登山道に入ると、最初は急な登りが続く。見晴らしも悪くて退屈であるが、丹沢の杉の植林帯のつまらなさに比べれば、ずいぶんマシである。30分も頑張れば、見晴らし台とよばれる場所に出る。そこからの景色がなかなかよいのである。その後ふたたび樹林に覆われるが、標高が上がるにつれ次第に視界が開けて、紅葉したナナカマドの向こうに高根ヶ原が見える。(下の写真)


さらに進んで斜面を登りきると、標高1500mあまりの第一花畑である。パッと視界が開けて、緑岳と極色彩の紅葉が目に飛び込んでくる。天気がいいのと、色付きが進んだおかげで、6日前とは雲泥の差のすばらしい眺めである。緑岳の斜面のダケカンバがグッと色づいている。気温もかなり下がっている。前回は夏と秋の中間のような感じだったが、今回は登山道に霜柱が出来ているし、水溜りには薄い氷が張っている。このあと天気が崩れれば雪になってもおかしくない。






第二花畑を過ぎ、ロープのつけられた崖っぽい所を登ってハイマツのトンネルを抜けると、緑岳山頂への急登となる。大きな石がゴロゴロしたガレ場を登っていくと、高根ヶ原の崖の下に広がる紅葉を見下ろすようになる。大雪山らしい実に雄大な景色である。この時期に緑岳に登るのは、ほとんどこの紅葉を見るためと言える。
崖の下には高原沼が見える。沼巡りコースの休憩ポイントになっている場所だ。今頃、大勢の人がこちら(緑岳)を見ながら弁当を食べているはずである。



歩いてきた方向を振り返ると、緑色のハイマツ帯に登山道が走っているのが分かる。遠くに見えるのは東大雪の山々。左から音更山、石狩岳、一番奥の少し尖ったピークがニペソツ山である。


6日前に山頂に立ったばかりなので、この日は中腹からの紅葉を見たところで引き返した。帰りも写真を撮りながらのんびりと。行きと帰りで同じ場所を撮っても、太陽の位置が変わるので違った写真になる。


第一花畑まで戻ってきた。赤い絨毯のように見えるのは、チングルマの紅葉である。とても名残惜しいが、緑岳とはここでお別れである。

高原温泉に着くと、シャトルバス待ちの長蛇の列にびっくり。この日、沼巡りコースの入山者数は1000人を超えたそうだ。バスは臨時便も出て15分程度の間隔で運行されていたが、それでも1時間以上も待つハメになった。大雪の山奥で、こんなことは初めてである。



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